「かつて神だった獣たちへ」実は切ない人間味あふれるダークファンタジー

テレビ

禁忌の術によって作り出された異形の兵士、擬神兵をめぐるダーク・ファンタジーです。

「時代は変わり「神」と崇められた彼らはいまは「獣」と呼ばれ恐れられる存在に、
かつての友を葬らなければならない、見え隠れする人間の心」、
現代のクールな社会に生きる私たちに心の存在を教えてくれる作品です。

「かつての友を葬る悲しみ」

かつて10年に渡る内戦の最後の手段として、強靭な肉体と精神力を持つ選ばれた者が、
「強化兵士計画」により人の姿と引き換えに最強の力を持つ擬神兵に変えられました。

しかし平和な世の中が訪れ、強い力とその容姿に「獣」と蔑まれるようになります。

精神のバランスを崩し自壊していった、かつての仲間を殺し続ける主人公のハンクは、
かつての擬神兵の隊長でした。

「人の心をなくしたものは仲間の手で葬る」として悲しい任務についています。

ハンクがかつての仲間と戦い、葬る瞬間、彼の心の葛藤、
計り知れない悲しみに支配されているのではないか、
仲間の尊厳を守るためにその仲間を殺さなければならない葛藤は如何許りか、
現代社会が忘れてしまった人を思いやる心を考えさせられます。

「擬神兵にはそれぞれにストーリーがある」

心を失った擬神兵と言っても、かつては普通に暮らしていた人間です。

家族や友人がいて、それぞれに歴史がありました。

ハンクに殺された擬神兵の娘のシャールも、父ウィルがどうして殺されたのかを探す旅に出ます。

ストーリーの中で擬神兵の過去に触れ、それを踏まえてストーリーを見進めると切なくなります。

ベヒモスが死んだのは、海のすぐ近くでした。

海が見たいと泣きながら海を目指しますが、たどり着く事なく息絶えてしまうのです。

その時のベヒモスの心はどうだったのか、実は人間の心を持っていて、
無念だったのではないかと、グッときてしまいます。

「キャストや主題歌もすごい」

ストーリー展開も壮大でスケールの大きな作品ですが、それを取り巻くキャスト陣も壮大です。

監督は「ちはやふる」や「進撃の巨人」の宍戸淳監督、アニメーションは
「進撃の巨人」や「神撃のバハムート」を手がけたMAPPA等によって制作されました。

声優陣には「東京グール」や「BLEACH」の小西克幸、「鬼滅の刃」や
「プリキュア」の加隈亜衣、「聖闘士星矢」や「東京グール」の石川界人らが固めています。

主題歌「サクリファイス」は人気のまふまふが作詞作曲を手がけ、
アニメ自体のストーリーはもちろん、声優や主題歌からも目の離せない作品です。


全体としてストーリーが展開していく中にも、
それぞれの擬神兵や主人公らの悲しいストーリーが盛り込まれた、
二重三重にも折り重なるストーリー展開が見応えのあるアニメ作品です。

切なく奥の深いブラックファンタジーの壮大な世界観は一見の価値ありです。